「オッサン」は使えない?

先日、久しぶりにブックオフに行って適当に本を買ってきた。その中の一冊が、余りにも程度が低い本だったので、自己満足的にココにコメントを書きたくなった。
大まかに云うと、「50歳代と60歳代の社会人が約に立っていない事を、色々な事例な様なモノをだして、説明している」本である。正直、この本は何を読者に伝いたいのかがさっぱり理解できない。否、理解できたが、そんな下らない事を1冊の本にまとめて記載する価値があるのかが理解できない。しかも広義ので同業者(コンサルタント)が書いている本であるので、理解できないのである。コンサルであれば、解決策を提示すべきであり、そして問題の本質を正しく把握する必要がある。それが全くお粗末なので、どうしても書きたくなった。

 

この本をどう読んでも、バブルを経験できなかった50歳程の人間が、バブルを経験した人間をディスッっているだけの本にしか読めない。バブルを経験できなかった事をヒガミ、またバブル以降に崩れた日本の社会の問題をバブル経験者の所為にしている様に見える。コンサルタントとして大変情けない分析だ。一分に面白い視点も書かれているが、それを掘り下げず、ただ単に50&60歳代をバカにしする為の材料にしている点が頂けない。

 

本の中で、50&60歳代が受けた教育のレベルの低さが書かれている。団塊の世代より上が受けた今日行くは確かに低く、また学生闘争に明け暮れた世代はマトモな教育を受けていない事は事実である。しかし、教育も年々進化しており、この著者が受けた教育も、現在の教育からみると陳腐化している事を理解しておく必要がある。この本の著者自信も既に50歳代になり、現在の若者から「ダメ印」を押されている年代になっている事を理解しておくべきである。
一方、この世代を含めた過去の教育に良い面も多くある。それを如実に表しているのがノーベル賞の受賞だ。戦後の教育を受けた多くの学者がノーベル賞を受賞しており、また著者が云う”50歳代&60歳代”の受賞者も6名程いる。
また、彼らはベビーブーマー時代を勝ち抜いてきた年代でもあり、その点では逞しさがある。また、海外へも躊躇なく云っていた事は、今の若者をみると尊敬に値するのではないだろうか?

 

この本が書いている事が100%間違っていると云うのではなく、この本に書かれている問題が、この本が書かれた時の”50歳代&60歳代”に特化しているのではなく、著者そして著者より若い世代の人間も同様にその方向に向かっている事を知る必要がある。企業におけるポジションや権力にしがみ付くのは、なにも”50歳代&60歳代”に限っていないし、ポジションや権力につくまでは”イエスマン”に近い行動を取るのは、年代が違っても同じだ。特に昔より現在の方が強まっている感がある。そして著者の年代も同様に、若者から煙たがられている事を理解する必要がある。
団塊の世代は、問題点もあるが頼もしい点もある。その一つが彼等は海外に積極的に出て行った事だ。彼等及び彼等より上の年代の海外での活躍によって、日本の経済は伸びていた事は疑いの無い事実ではないだろうか?一方、今の若者は旅行でも海外に行く事に抵抗がある世代と聞いている。その様なチャレンジ精神の無い世代に社会を任すのか大変恐ろしく感じている。

 

日本の社会の問題点は、世代が違うと会話が出来ない事にある。どうしても上下関係を気にする為であろう。自分が若い頃は、早く大人になりたく精一杯背伸びをしていたが、今の若者にはその気質が無い様に見える。なので、多くの人間は自分より年上と仕事を一緒をする事に居心地の悪さを感じているのだろう。その様な人間が管理職レベルになると、自分より年上を上手に使いこなせないでいる。年上の人間を使いこなすマネージメント能力が無い為、年上の意見を嫌々ながら聞くか、または年上を排除するしかない狭い選択肢しか持てない人間に問題がある。コンサルであれば、年上をダメ出しし、排除する本を書く暇があったら、年上も上手にマネージメントできる能力を教育する方が大事である。

 

コンサルタントであれば、バブル経済を経験できなかった事をひがみ、諸悪の根源を50&60代にするのではなく、全ての年代に共通する日本人が持つ課題を把握し、そして解決方法を考え実戦する事が大事である。そして年代によって違う課題にも気が付き、解決する手段を考える事が大事であって、自分の年代から下の世代には問題が無い様な本を書いている様な愚かな事は慎んで欲しい。