学校の9月入学の是非

9月入学の議論が広まっている。議論をする事は結構な事だが、事実を正確に把握していない状況での議論は間違った判断をしてしまう為、絶対に避けなければならない。それで、あくまで自分自身の経験を元にしたモノであり、かなり前の事ではあるが、数十年前の事実を明記した上で、どうあるべきかを考えてみたい。
USの大学では、主にSemester制(2学期制)とQuarter制(4学期制)の2種類がある。Semester制では、8月末(秋)と1月初旬(春)から始まる約3.5~4か月弱のSemesterと、6月頃から始まる1.5か月前後のSummer Schoolがある。Quarter制はあまり詳しくないが、2~2.5ヵ月のQuarterが年4回ある。因みにUSではSemester制を採用している学校の方が多い。それで、この後はSemester制を中心に深堀したい。

 

先ず一つ目の勘違いは、USの大学では9月のみが入学と思われているが、1月の学期やサマースクールからの入学もOKである。知っての通り、卒業も単位を取れ次第卒業できるので、3年で卒業しようと思えば簡単に出来るし、どのSemesterまたはSummer Schoolの終わりでも卒業できる。但し、卒業式は年1回のみの大学もあるが...。現状認識はこの程度にしておこう。

 

現状の日本の仕組みだと高校卒業は3月だが、9月入学(8月末)になった場合、高校の卒業は5月になり、約2ヵ月遅くなる。そして卒業後は3か月程の長い夏休みになる。であれば、卒業後の休みが3か月か5か月の違いがあるが、希望すればSumemr Schoolから入学できるので、休みは短くもできる。と云う事から、現状の日本の高校に通っている学生が海外に留学する際の弊害は少ない。では本当の問題は何か?それは日本の高校生ではなく、海外から受け入れる学生に対する制約であって、日本の学生にとっての制約ではない。

 

現状の日本の大学は、ほぼ4月入学に限定している。その場合、海外の高校を5月に卒業した場合、次年度の4月まで待つ事になってしまう。これが問題の本質である。今、9月入学を論じている人は、問題の本質を知らない人か、または知っていても日本の高校生の事をあまり考えていない人達が議論している様だ。
問題を解決する方法は至って単純かつ簡単で、入学をUSの大学の様に、何時でも入学でいる様にするだけで解決できる。4月だけでなく、9月も入学できる様にする。この単純かつ簡単な解決策を、「そんな事はない。大変だ」と云う人も居るだろう。しかしよく考えて欲しい。9月入学に変えられるエネルギーがあれば、何時でも入学でき、そして卒業できる仕組みに変える方が、数分の一のエネルギーで変えられる。