コンサルタントの課題認識と解決策:コミュニケーション力

昨今日本では、コミュニケーション力の重要性が問われている。これは確かに重要な事ではあるが、こんなことを云う国は先進国の中では日本位ではないだろうか?海外の人達と会話しても、この様な問題を感じた事がない。しかしながら、日本では、コミュニケーション能力が重要とされ、それを向上するトレーニングを行っている。
海外では、プレゼンテーション能力を高める為の様々な教育プログラムはあるが、こと”コミュニケーション能力”を高める為のトレーニングは個人的な経験では聞いた事がない。何故、日本では”コミュニケーション能力/コミュニケーション力”が重要なのだろうか?一体、”コミュニケーション力”とはなんだろうか?

 

日本人自体が言葉でのコミュニケーションが下手...と云うよりは、何か別の問題があるのではないだろうか?では一体どんな問題があるのだろうか?それを以下の観点で紐解いていきたい。
①自分の意見・考えが乏しい
同調圧力
③自分と違う意見を聞かない・無視する

 

①自分の意見・考えが乏しい:
先の大戦で日本が負け、沢山の米兵が日本に来た。彼らの中に、読み書きができない者も多く居て、それを知った日本人は、読み書きのできない国民に負けたと知り、ショックを受けたと聞く。一方USからみた日本人は、精神年齢が小学校6年生に見えたらしい。これはどう云う意味かと云うと、米兵から見て、自分の意見や考えを云う(または伝える能力)がUSでの12歳程度に見えたと云う事である。読み書きできない米兵よりも劣ると...。何を意味しているのかを、自分達の問題として認識する必要がある。

 

原因は、一般的に日本人は無口な事が原因ではないだろうか。家庭内での会話は他国と比べると少ない。昔の家庭では、食事中に会話する事は少ない。また、夕食時に父親が居る家庭はすくない。子供が通っていた塾の先生に、子供の国語の能力は、家庭環境に大きく左右されると云われた。要するに、家庭での親子の会話の量が、子供の国語の能力に左右するとの事らしい。また学校でも教師からの一方通行の説明が主で、議論をする事業が少ないと云われている。原因はこの辺りこにあるのではないだろうか?
家庭内での会話が少ない家庭で、いきなり会話を多くする事はほとんど不可能であろう。親はその親がしてくれた事しかできず、または「自分が親になったらこうしよう、これはしないでおこう」と思っている事しかできない。その上で今まで行ってきた事以外の事を行う事は大変難しい。となると、学校教育で補うしかない。

 

学校教育において、自分の意見(考え)を伝えし、そして他人の意見(考え)に耳を傾ける訓練を繰り返し行う事が必要だ。自分が子供の頃にくらべると、この様な教育は多少はされていると思うが、まだまだたりないのではないだろうか。自分の意見を言い、そして一番大事なのは、他人の意見を聞く、場合によっては聞き出す能力の醸成が大切ではないだろうか。

 

同調圧力
個人的には、②の”同調圧力”よりは、③の”自分と違う意見を聞かない・無視する”の方が多いと感じているが、一部の著名人が②の”同調圧力”を日本人と悪い特徴としてあげているので、別々に列挙したが、一緒に説明したい。

 

先ずは、③の”自分と違う意見を聞かない・無視する”と学校における”イジメ”とは、根っこにあるモノは同じではないだろうか。日本人に根ずく”村社会・村意識”や、自分と違うモノや人を排除する行動が、他国と比べて強い。例えば、外部の人間がある地域の仲間に入ろうとするには難しさがあり、受け入れられるまでに時間がかかる。一旦うけいれられると、居心地の良い状態になる。しかし、ひょんな事から仲間外れになる事も潜んでいる。陰口や噂などから...。
これは島国である日本は、歴史や文化が違う外国人と接する機会が少ない為に、仕方がない面があるかもしれない。しかしこれが日本(日本人)の強みでもあり、また弱みでもある。そしてこの事を日本人が共通的な課題として認識できれば、強みを残しながら、弱みを少なくする事を考える必要がある。

 

この村社会的な状態が、都会の企業の中でも横行している。皆さんも、自分の意見に耳を傾けてくれない経験をしている人も多いであろう。企業内の活動で、残念ながら日常茶飯事に起こっている。例えば、上司が部下の意見(特に新人)を握りつぶす(無視する)事がある。新人の場合は、意見が幼稚すぎる場合があり、忙しい時には懇切丁寧に説明できない場合もあるかと思う。会議の中で自分の意見を声の大きい人に無視される事もあるだろう。また、懸念や問題点を伝えたのに、無視される場合も多いと思う。特にこの最後の例が、昨今発生している多くの企業で発生している品質問題につながっていると思う。違う意見を聞かない習性と、臭いモノには蓋をしたがる習性が、日本人は他国民と比べて強い傾向にあるのではないだろうか。

 

一寸脱線するが、昨今のマスコミ報道も、マスコミ側が報道したい意見・考えばかりが報道されている。日本でもUSでも。ネットで情報を検索されている人達は、マスコミの偏見報道や一方的な報道をしっていると思う。USでトランプ大統領が”Fake News”と云っている事も、マスコミが偏向報道している場合が多いからだ。脱線はこれくらいにして、本筋に戻そう。

 

これを改善するには、やはり学校教育で対応するしかないだろう。勿論、企業内での研修での対応も可能だが、まずは学校教育で行う事が重要だ。
最近の若い人は、自分の意見を発表する能力が高くなってきている。学校教育でプレゼンをする機会が増えている事に他ならない。だけど、まだまだ地域差は学校差が多い様に見受けられる。
例えばここで、自分とは正反対の意見をまとめ、プレゼンする機会を作る事も有効ではないだろうか。また普通の授業の中でも、先生が生徒の意見を常に”Good Opinion”と云える事や意見を言った事を”Thank you”と言える事が大事だ。そして、組織のリーダになる人ほど、この先生の役割を理解し実践できる事が重要である事を理解する必要がある。

 

この様に、この②と③の問題については、伝える側の問題よりは聞く側の問題点の方が強く、その点にフォーカスをあてた教育が重要ではないだろうか。
但し、コミュニケーション能力の高さだけでのし上がっている人も多くいるので、社会人(企業人)としての価値は、コミュニケーション能力ではない事を最後に付け加えたい。