70歳超えても働く...

先週末の新聞に、「70歳超えても働く」の文字が躍っていた。人生100年を意識する必要がある為との事である。平均寿命は80歳代後半だが、60歳まで生きた人の平均寿命は90歳を超え、100歳に近付いている。そうなると、特別裕福でもない限り、60歳を超えても働く必要がある。
10程前までは、自分は60歳まで働き、80歳に死ぬまでの資金計画を考えていた。しかし恥ずかしながら、50歳まで生きた人の平均寿命は90歳をこえるので、60歳で引退した場合の老後は20年ではなく、30年以上を考慮する必要がある事に気が付かされた。そして90歳ではなく100歳近くまで生きる可能性も結構高いのだと...。そうなると、60歳で引退していてはダメで、70歳近くまで働く必要がある。やはり人生の半分は仕事をする必要があるのだと気が付いた。例えば、20歳から70歳まで働いたとする。勤続年数は50年である。学生を20歳までしていたとすると、残り30年を不給ですごせる。

最近は沢山の企業も60歳以降も継続雇用し始めている。概ね65歳までであるが、70歳まで雇用を続ける企業もあるようだ。但し、賃金を抑えているケールが多く有るが、それは如何なものであろうか?例え70歳であっても、能力に見合ったまたはその仕事に見合った給料を支払う(受取る)べきである。そうでなければ、若者との公平な競争にならないから。能力があるのに、少ない給料で働いてしまうと、その分若者の仕事を奪ってしまう事になってしまう。しかし、継続して同じ仕事を続けられる人はごくわずかで、多くの人は全く別の仕事をする事になるであろう。全く経験した事がない仕事を行う事も、いい刺激になるだろう。その際も経験や能力またはその仕事の内容に見合った給料をもらうべきだ。

適切な給料を支払う為に、現在の賃金制度、特に最低賃金の考え方を抜本的に見直す必要がある。具体的には、ヨーロッパなどで実施されている業種別の賃金体系と、年齢別の最低賃金の設定である。EUの一部の国では、労働組合が業種別の賃金交渉を行っていると聞いている。この制度は最近国内でも時々話題になっているが、出来るだけ早急に国会等で検討して頂きたい。桜を見る回などどうでもいい事だ。
もう一つの改革は、年齢別の最低賃金の設定だ。中学を出たばかりの15歳の最低賃金と、社会経験豊かな40歳代の最低賃金が同じである事に疑問を抱かざるを得ない。年齢による最低賃金の格差は、最大と最小との差は1.5倍程度が妥当であろう。差がこれより大きいと、採用が最低賃金の低い所に集中するだろうし、また差が大きすぎると別の差別が発生してしまうだろう。それで70歳辺りだと、一番低い最低賃金の1~2割増し程度はどうだろうか?

また、高齢者の労働時間も少なめにしたい。週休3日は絶対必須だ。週20~30時間程度の労働時間でも十分だ。仮に週20時間働き、時給を1200円とした場合、80時間x1200=9万6千円の収入になる。ここから税金を引くとしても、年金と合わせると最低限以上の生活は十分できる。残りの時間は自分の為に楽しみたいモノだ。

但し、これまで書いてきたことは企業で働く事のみを想定していたが、田舎で暮らすのも有りではないだろうか?過疎地には家も農地も余っている。小規模農家として生活するのもいいアイデアだと思う。小さな農地があれば、野菜や果物はある程度自給できるし、収穫した作物を売る事で、多少の収入も得る事ができる。環境の良い所で老後を過ごす人が増えているので、この手段も有りではないだろうか。